蘆田暢人 Masato Ashida

江坂ひととき 建築家
建築プロジェクトリーダー

株式会社蘆田暢人建築設計事務所 代表

江坂ひとときプロジェクトの構想を榎原と二人三脚でスタートさせ、コンセプトに基づいた建築の設計を担当。江坂ひととき唯一無二の建築家です。

プロジェクトに関わったきっかけは?

昔からの友人だった発起人のエバさんから、「父親から引き継いだ土地を地元・江坂に貢献できる形で活用したい」と相談を受けたことがきっかけです。

エバさんの想いに共感し、ここでどんなことができそうか、一緒に考えるところからスタートしましたが、建築家として、こんなにも白紙の状態で依頼を受けることは難しいので、正直、かなり難しい案件でした(笑)。

どこからどのように進めていったのですか?

方向性を探る中で、エネルギーの仕事をしているエバさんが関わる能勢の森を訪れたり、江坂の人たちのニーズを探るための調査を行ったりしました。

すると、里では森を手入れする林業の担い手が減って困っており、街では人々のゆとりや自然に触れる機会が少ないという課題が見えてきたんです。

そこで、江坂を中心にまちづくりをされている梨恵さんも含めてアイデアを出し合う中で、「森の取り組みを建築を通して街に届け、地域の人たちを元気にする場所」を目指すことになりました。

ひとときの施設の特徴を教えてください

建物には能勢の広葉樹を使っています。一般的に建築には使用されない広葉樹ですが、能勢における森の再生に向けた取り組みを伝えるため、使用することになりました。建物に立つ7本の丸太柱は、森で伐採した広葉樹を乾燥させ、そのまま使用したものです。

またこの建物は、大きな窓とテラスで建物の打ちと外を心地よくつなぎつつ、環境にも配慮したZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)として設計しました。

芝生広場とシンボルツリーを囲むウッドデッキは、人づたいに集まった地域の人たちの協力によって完成しました。

オープンを迎えた時の率直な想いは?

構想から約3年半、エバさんと2人で始めたこのチャレンジに、いつの間にか里からも街からも関わってくれる人が増え、オープンを迎えることができました。

オープニングイベントには約500人の方がお越しくださり、素直に「すごいな」と驚くと同時に、人々のあたたかい交流が生まれている様子や芝生で憩う姿が見られて、嬉しく思いました。

ひとときに関わってくださる皆さんの想いをのせて、ここがもっともっと素晴らしい場所へと育っていくことを期待しています。

地域のみなさんへのメッセージをお願いします

ひとときは、まだ未完成な状態です。

建物も広場も庭も、まだまだ余白があり、さまざまな可能性を秘めています。

これから進んでいくガーデンや木工などのプロジェクトを中心に、地域のみなさんがここでやりたいことを見つけて、積極的に使っていただけると嬉しいです。

私自身も関り続けながら、ひとときの未来を共に作っていきたいと思います。

学歴・職歴

  • 京都大学建築学科を卒業後、2001年に京都大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了。
  • 2001年から2011年まで内藤廣建築設計事務所に勤務し、設計チーフや取締役設計室長を歴任。
  • 2012年に株式会社蘆田暢人建築設計事務所を設立。
  • 同年に株式会社ENERGY MEETを共同設立。
  • 2018年には株式会社Future Research Instituteを共同設立。
  • 2017年から千葉大学の非常勤講師も務めています。

活動内容・受賞歴

  • 建築設計にとどまらず、エネルギーとデザインをテーマに、家具からまちづくりまで幅広い領域で活動。
  • 主な代表作品には、「折板屋根の家」、「松之山温泉景観整備計画」、「キールハウス」、「ryugon」など。
  • 主な受賞歴は、「これからの建築士賞」、「グッドデザイン賞」、「日本都市計画家協会賞」、「神奈川建築コンクール優秀賞」、「Asia Design Prize」など多数。
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