森と街をつなぐ建築の物語 (2)

里と街をつなげ、地域を元気にする

インタビュー:榎原 友樹 | Tomoki Ehara

江坂ひととき発起人の榎原友樹さんは、江坂で生まれ育ちました。榎原さんが先祖代々の土地を継いだことが物語の始まりです。そこにはどんな思いがあったのでしょうか。

この土地はもともと田んぼでした。祖父の代に倉庫を建て人に貸し始め、建物が老朽化したのを機に、次どうしようと、家族で話し合ったんです。両親は「目先の利益だけを見るとマンションを建てれば良いけど、それはしたくない」という考えでした。
たまたま持っている土地を、何かしら人や世の中に役立てたい。何ができるのかから蘆田さんと、僕の高校の同級生で江坂に住む野澤梨恵さんに相談したのです。
 僕はエネルギーの仕事をしてきて、能勢・豊能町には 2020 年頃から関わってきました。里山は、鹿による被害が深刻です。林業の担い手がいなくなり、森がほったらかしにされる。鹿の食べる草がなくなり、田んぼを荒らす。それが耕作放棄地になる悪循環が生まれています。実は土砂崩れや水害につながる、街の生活にも密着した問題です。
一方、自身は家族でマンション住まいですが、花火やボール遊びすら自由にできません。たまに子どもを里山に連れていくと、楽しそうに驚くような遊びを発見します。日常でもこうした経験をさせてあげたい親としての気持ちもありました。
蘆田さんや梨恵さんと課題やアイデアをぶつけ合う中、「里と街をつなげ、地域の人たちを元気にする場所」を目指すことに。その中でだんだんと熱い思いとエネルギーを持った人たちが、関わってくれるようになりました。ひとときのカフェはあくまで入り口です。これから、里と街の人がごちゃ混ぜになっておもしろいことが生まれる、多層的なコミュニティーの場にしていきたいです。

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