森と街をつなぐ建築の物語 (3)

街のこと、里のこと

大阪・吹田市の南に位置する江坂は、梅田や新大阪に近く交通利便性が高い街です。駅の近くにはオフィスや商業施設が集まり、少しいくとマンションが立ち並ぶ光景が見られます。1970年の大阪万博開催に向け、50~60年代に周辺の交通インフラが整備されました。その結果、急激に人口が増加し、建物が高密度に立ち並ぶ現在の姿になっていったのです。
一方、能勢町・豊能町は大阪の北部の、のどかな里山の風景が残る中山間地域で。古くから能勢街道をはじめとした街道で大阪の市街地と結ばれ、農作物や木材などを供給していました。この二つの土地を知ることから、プロジェクトは始まりました。

街の課題

吹田市の人口は、今なお増えています。便利な街である反面、高密度な都市ではゆとりや自然に触れる機会が少ないのが現状です。「つくられたもの」で満たされ、自ら「つくる」機会とそのためのスペースがなかなかありません。

里の課題

能勢町は、2000年以降急激な人口減少の問題を抱えています。高齢化が進み、農業や林業などの一次産業が衰退し、里山を維持してきた仕組みが成り立たなくなりつつあります。里山の魅力と課題は、なかなか地域の外に伝わっていません。

PAGE TOP